ユーザーモデルは人の内発的な動機となる感性や感情的な側面を対象にしたモデルです。
状況やTPOのような外発的な動機は、人が何かを購入しようと考えるときにはとても大切な要因なので、広告であればまずはこれらを前提に考えるのは当然(逆にこれらを想定しない広告はありえないともいえます)ですが、状況やTPO“そのもの”は商品やサービスの提供者側からは制御できませんし、状況やTPOは”個別の”商品やサービスに対する必然性を生むこともありません(もちろん、その状況ならこれ以外にない、という商品やサービスがあるのであれば、全くないとはいえませんが)。
例えば、家電のように、必ずしも一人で使うとは限らなかったり、狭い部屋で使う必要がある、とか、結婚して家族が増えた、のような使われる状況が変わる可能性が様々ある一種の家庭内公共財にとって、状況は重要な変数ではありますが、家電メーカーにとっては制御できない変数です。
人の内発的な動機も、商品やサービスの提供者側から制御しにくいのはもちろんですが、もし人が何かを購入しようと考えるときの内発的な動機を少しでも知ることができれば、その人が共感してくれるようにするにはどうしたら良いかや、自分たちが提供しようとしている商品やサービスの特性と親和性の高い内発的な動機をもつ利用者を効果的に探し出すことが可能になるのではないでしょうか。
重要なポイントは、状況やTPOの変化によって生まれたタイミングで選択肢に入れてもらえていることですから、家電であれば、(その人の内発的な動機に基づいて…)“このオーブンちょっといい感じ…”と思われているからこそ、例えば結婚して家族が増えた、といった(家電メーカーには制御できない)状況の変化によって生まれたタイミングで、偶然行った家電量販店で選択肢に入ることができ、手に取ってもらえるチャンスが生まれる…のような感じなのでしょう。