『ペルソナは作ったことあります』
…という方は結構いるのではないでしょうか。
ユーザーモデルのクラスタの特徴表現(プロファイル)を見て、ユーザーモデルがペルソナに似ていると感じられた方もいると思いますが、同じような目的のために活用されることもありますので、「人を理解するための考え方」として近いものがあるのは確かです。
ただ…
「その人はどこにいるのか…具体的には誰なのか…何人くらいいるのか…」
「自社のマーケット情報とリンクしにくいペルソナを使っても…」
…そんなことを他のメンバーから言われて困ったことはありませんか?
もちろん、ペルソナは、一般的には、「設計しようとする体験の対象者となる人のイメージを関係者が共有するために作られた”架空”のユーザー像」ですので、その人はどこにいるのか…を正確に知ることはできません(そもそもそれはペルソナの役割でもないでしょうが)。
これに対してユーザーモデルは、ペルソナと同様、設計しようとする体験の対象者となる人のイメージを関係者が共有するために活用することはもちろん可能ですし、一定の集団の中にその人がどのくらい存在していて、目の前にいる人が該当の人であるかどうか等を相応の確率で予測するようなことも可能であるところが大きく異なるところと言えるでしょう。
ペルソナでもユーザーモデルでも、対象者に対象となる事柄(例えば普段の消費行動傾向・価値観や意識・嗜好等)についての考え方を問うこと(調査)から始まるのは同じです。
ペルソナでは、その調査結果から共通して重要だと思われる要点(ペルソナスペクトラムと呼ばれることもあります)を整理しながら、分析者が“主観的”に(もちろんインタビュー等で調査したエビデンスを参考にしながら、であることは言うまでもありません)ユーザー像を作り上げていきますが、ユーザーモデルは、その調査結果に影響を与えている潜在的で重要な共通する“何か”(因子)を分析によって“客観的”に探り(因子分析)、その因子に対する傾向の似通い具合で塊(クラスタ)を抽出することでユーザー像を作っていきます。
ペルソナであれユーザーモデルであれ、いずれもユーザーを理解し共通認識をもつための考え方であることには変わりはありません。
また、ユーザーモデルを作る際にも、その調査設計の段階では、対象者に対する質的な調査は充分に実施することがほとんどで、二者択一で考える必要もありません。
但し、実際のビジネスの現場で活用することを考える場合、その目的や状況に応じて適切に選択して活用できる必要はあるでしょう。