レシピサービスでNPS測ってみた…

テレワークという働き方もなんとか定着する中、食料品の値上げが相次ぎながらも、自炊をする人はコロナ禍前と比較して40%以上増加しており、そんな自炊を支えるのが、レシピサービスです。

自炊の際にレシピサービスを利用しているユーザーは60%に昇り、使用されているサービスとしては、もちろん草分けのC社がシェアは下がり気味ながら最も多く、2番手のK社やD社がぐんぐん成長している…といった状況のようです。

今回、約1000名に対する自主調査で、利用しているレシピサービスに対する推奨度と「食に対する意識に基づくユーザーモデル」(※1)の関係を調べてみました。

調査の概要は…
①利用しているレシピサービス(利用していない場合は③へ)
②利用しているレシピサービスに対する推奨度
③食に対する意識モデルの判別
…で、何らかのレシピサービスを利用している回答者は511サンプルでした。
推奨度は利用者を対象に計測しましたが、食に対する意識モデルの判定は利用していない回答者も含めて全員に実施しました。

利用者数の5位以下は出現数が少なかったので、R社も含めた上位4社のNPS値を比べた図が右図(※2)となります。

レシピサービス業界全体のNPS値の合計は-14.68となっており、トップシェアのC社が-20.66、シェア拡大中のK社(-2.50)やD社(1.85)のNPS値は全体の中では高い値を示しています。

次に、これらレシピサービス利用者の「食に対する意識に基づくユーザーモデル」の各クラスタ毎の割合を見てみましょう(※3)。

全体の傾向としては、レシピサービスの利用者にはCLUS1(楽しく食べて健康維持派)及びCLUS4(食べることを大切にしたい派)が多く(「使っていない」が有意に少なく)、CLUS2(一人で自由に食べたい派)及びCLUS5(適度に普通でいい派)には訴求しきれていないことが判ります。

また、C社の利用者にはCLUS4(食べることを大切にしたい派)が有意に多くなっており、K社やD社の利用者にはCLUS1(楽しく食べて健康維持派)が有意に多くなっています。

ここで、「食に対する意識に基づくモデル」の5つのクラスタ毎に推奨度を確認してみましょう(※4)。

全体の傾向としては、CLUS1(楽しく食べて健康維持派)の利用者には中立者も多いが推奨者が有意に多く、CLUS4(食べることを大切にしたい派)の利用者には中立者も多いが批判者も有意に多くなっています。

これらの結果を総合的に解釈してみると…

●シェア拡大中のK社やD社の利用者にはCLUS1(楽しく食べて健康維持派)の利用者が有意に多く、推奨者にもCLUS1が多くなっている。

●C社の利用者にもCLUS1(楽しく食べて健康維持派)の利用者は少ないわけではないが、各社の全体に対する割合からみるとK社やD社の利用者に対する割合が高くNPS値では後塵を拝している。

●食べ物の好みが様々であることに対する許容度が高く(因子7)、流行に敏感で(因子1)、健康のためカロリーを気にする傾向の高い(因子5)、CLUS1(楽しく食べて健康維持派)の利用者(※5)は、現段階でのレシピサービスが訴求できている可能性の高い利用者ではあるがブランド間での取り合いになっている。

●トップシェアのC社にとっては、中立者や批判者が多く推奨意向にはまだ結びつけきれていないがC社の利用者が多いCLUS4(食べることを大切にしたい派)の利用者の推奨意向を高めるサービスやコンテンツを拡充することで、全体としてNPS値の向上を図るような方向性はありえるだろう。

●ちなみに、CLUS4(食べることを大切にしたい派)(※6)は、食べることに対する興味が高く(因子4)、産地や原材料に充分配慮しながら(因子3)、じっくり時間をかけて食事作りをすることに対する許容度が高い(因子2)利用者で、必ずしも流行りのタイパやコスパのような効率化は求めていないかも。

…のような感じになるでしょうか。

NPSもユーザーモデルも心理計測した結果ですから、結構解釈が馴染みますね。

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