クラスタが同じであることは心理特性が“同じ”であることではありません。
判定されたクラスタの番号だけを見ていると、心理特性が全く同じであるように見えてしまいますが、あくまでも他のクラスタの心理特性よりは傾向が“近い”という程度のことにすぎません。
例えば、「自動車保険に対する考え方」に基づく4つのクラスタを想定した4つの判別設問(判別的中率:78.8%)に[2,5,3,5]と回答した[A]と[2,5,3,4]と回答した[B]は、A/B共にクラスタ4[保険は大手に継続お任せ派]と判別されますが…
A/Bに予測される因子得点を直接比較(赤色の折れ線グラフ)してみると、因子1[知識量の豊富さ因子]に対する傾向(A:-0.9852⇔B:-1.1184)や因子3[依頼心因子]に対する傾向(A/B共に0.4363)は非常に近いですが、因子5[選択許容性重視因子]に対する傾向(A:0.9145⇔B:-0.0305)には差があります。
また、同じ4つの判別設問に[2,4,4,4]と回答した[C]も、A/Bと同じクラスタ4[保険は大手に継続お任せ派]と判別されますが…
A/B/Cに予測される因子得点(赤色の折れ線グラフ)と、判定されたクラスタ4の因子得点平均値(グレーの折れ線グラフ)を比べてみると、A/BよりもCの方が明らかに平均値に近い因子得点を保有しており、「AやBよりもCの方が典型的なクラスタ4に近い傾向をもっている」といえそうです。
おおよそ近い傾向をもっているかどうかに基づいて大きな塊でセグメントしたい場合、おおよそ近い傾向をもっている人の中でも特定の特徴を保有するかどうかでターゲットを絞りたい場合など、ビジネス目的や様々な状況に基づいて、カメラのフォーカスを調整するように、対象者を見る解像度も調整しながら活用していく必要があるでしょう。